「ラジオ少年」製キット 真空管MiniAMPの製作

今回、今まで製作したことがなかった真空管AMPを作ってみました。
 初めての真空管AMP製作でしたのでいつも購入しているNPO法人「ラジオ少年」
から6AB8真空管を使用した「AMP−Mini」と言うキットを購入しました。
内容を見ますと教材用の簡単2球AMPとなっていますが、いつもの通り回路図と製作
参考写真しか付いてきません。製作参考写真も詳しく写ってなくVR周りとネオン管付
き電源スイッチの配線が不明です。さらによく見ますと整流回路のブリッジダイオード
配線が空中配線です。その為いつもの通り自分で推奨回路図に基づき実体配線図を書い
てみました。実体配線図を書くにあたりVRの配線とアースの配線について良く解らな
い所がありましたので「ラジオ工房 掲示板」の皆様にアドバイスしていただきました。
今回、推奨回路図にはなく自分で追加した回路は初段B電源の左右回路分離とヒーター
配線のハムバランサー追加です。




シャーシ取付け部品を取付けたらトランスの頭には製作時の傷防止に保護テープを貼付け
ておきます。またフロント面にはドレスアップの為アクリル板を加工して取付けました。
取り付けが終わったら、実体配線図に基づいてアース母線、ヒーター配線、B電源ライン
などの配線関係から製作していきます。ヒータ配線は電源トランスのリード線が短かった
ので途中ラグ板で中継しました。最後にシャーシの奥になる部品から抵抗、コンデンサー
を取り付けます。(よく見ると実体配線図も所々間違っていたり書き足らなかったりで、
その都度修正して配線しました)シャーシを通過する部分は私の場合チューブを使用して
絶縁を確保しています。またコードクリップでシャーシに配線を固定しています。製作参考
写真で空中配線でしたブリッジダイオードはリードがラグ板の各端子に届きませんでした
ので1N4007ダイオードに変更してブリッジ回路にしました。
ネオン管付き電源スイッチはシャーシの裏から見て一番上が100Vコンセント線、真中が
電源トランスの100V端子、一番下がネオン管端子でヒューズの100Vトランス端子と
つながる部分に配線します。アース母線の1点シャーシアースはINPUT端子近くのサイド
パネル取付けねじから取りました。最後に100V、ACコードを取り付けて完成です。
真空管を取り付ける前に配線、部品の取付けショートがないかを再チェックして真空管を
取り付け電源を入れて各部の電圧をチェックします。

完成して視聴した処、真空管AMPですのである程度ハム音が出ると思っていましたが
ハム音が予想より大きくて驚きました。ハム音はVRを絞っても最大にしても同じ音量で
真空管を挿さない状態でも同じ大きさでしたので電源トランスからの漏洩磁束がOUTトラ
ンスに影響して出ているようです。完成写真を見ても判るように電源トランスとOUTトラ
ンスが近づきすぎていて磁束方向も同じ磁気シールドも無いトランスですのでハム音が出て
当然のようです。「ラジオ少年」の製作記事ではハム音は無いように書かれていましたが
使用するスピーカーによっては気になります。(低音が出にくいフルレンジSPですと気に
ならないのかもしれません)
この事を「ラジオ工房 掲示板」で掲示しましたら皆様からアドバイス頂き、出来そうな
事から実験してみました。まず電源トランスに磁気シールドとしてホーローなべを被せて
みたり電源トランスに同規格のトランスを乗せて逆方向に磁束が出るように電圧をかけた
りしてみました。磁束方向も直角になるように電源トランスを置いてみたりもしました
どれもある程度ハム音が小さくなりますが気にならなくなるところまでは至りませんでした。
完全に出なくなるにはOUTトランスから10センチは離さなくてはならずシャーシから
電源トランスがはみ出てしまいます。なんとか気にならない程度のしたかったので最後に
電源トランスを後部ぎりぎりに移動してみました。やはり無音には成りませんでしたが気に
ならない程度にできましたので此れでハム音対策は終了としました。
この他にこのAMPはVRのグランド側がアースに接続されていないのでボリュームが絞り
きれません、静かな部屋で聞くには気になりましたのでグランド側とアースの間に47μF
のコンデンサーを入れ交流的にアースしました。此れでVRを絞れば無音になります。
(完成写真5はコンデンサーを入れた状態の物です。アース母線近くの2個のコンデンサーが
それです)又キットに添付されていたVRはBタイプのVRでしたのでAタイプを購入して
交換しました。(静かな部屋でVRを絞った位の音で聞くにはAタイプで無いとだめです)




今回、初めて真空管AMPを製作してラジオには無いオーディオAMPの難しさを知りました
トランスなどの部品配置やアースラインの張り方、左右CH同じ回路の部品の配置などラジオ
製作では考えなかった問題がたくさん出てきました。今回は小型のMiniAMPでしたが
大型の真空管AMPですと重量や音質などまだまだ多くの問題が出てきて配置や使用する部品
の質、種類など吟味しなくてはならない事が多いようです。回路的にも色々な回路があるよう
でAMPを製作されている皆様のホームページを見ますと色々勉強になります。
最後にこのAMPの周波数特性を測定した写真と今回の製作回路図を掲載します。音質は低音が
不足気味ですがすっきりした音です。打楽器の音は弱いようですが普通のJ−POPのような曲
は気持ちよく効くことが出来ます。


2011年9月19日




radiokobo-all